EATING DISORDER

摂食障害治療

摂食障害とは?

EATING_DISORDER

・「食事を食べること」またはそれに関連した行動の持続的な障害のことです。 “拒食症”、“過食症”と一般に呼ばれる病気がその代表例となります。
・神経性やせ症も神経性過食症も“強いやせ願望・肥満恐怖による食行動異常”です。一番の違いは低体重状態が持続しているかどうかです(無月経は低体重によって生じるだけということで診断基準からはずされました)。
・神経性やせ症の患者さんは低体重状態が持続しており、それにも関わらずちょっとした体重増加を恐れます。体重のコントロールに失敗して少しでも体重が増えると「自分はだめな人間」と考えます。
・神経性やせ症には二つのタイプが存在し、食事制限のみで低体重を維持する方は「摂食制限型」、過食(通常よりも明らかに多い食べ物を制御出来ずに食べる行為)や排出行為(自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸の乱用など)を伴う方は「過食・排出型」と呼ばれます。
・神経性過食症は、強いやせ願望・肥満恐怖を持っているにも関わらず、食事制限ができず過食が始まって体重が正常範囲となり、肥満を防ぐために排出行為を行う様になった方です。そしてうまく減量出来ない自分を「ダメな人間」と考えます。
・長年の経過の中で神経性やせ症、制限型→神経性やせ症、過食・排出型→神経性過食症などと病型が変化する患者さんもいます。

代表的な摂食障害の特徴

TYPICAL FEATURES
  神経性やせ型
(摂食制限型)
神経性やせ型
(過食排出型)
神経性過食型 過食性障害 回避制限性
食物摂取症
特徴 体重や体型の感じ方の障害があります。
やせていても太ってると感じます。
体重や体型の感じ方の障害があります。
やせていても太ってると感じます。
体重や体型の感じ方の障害があります。
過食に苦痛を感じ、罪悪感を伴います。
体重や体型の感じ方の障害があります。
過食に苦痛を感じ、罪悪感を伴います。
体型や体重へのこだわりやボディーイメージの障害を伴わない。
食事 食事量を制限します。 過食する方もいます。 食事量のコントロールができず、頻繁に過食します。 食事量のコントロールができず、頻繁に過食します。 食事量の減少、偏食、食事の拒否、嚥下恐怖 等
瘦せるための行動 過度に運動したりします。 食べ物を吐いたり下剤を使ったりします。 食べ物を吐いたり下剤を使ったりします。 食べ物を吐いたり下剤を使ったりしません。 過活動や嘔吐・下剤の使用は一般的に認めません。
体型 明らかな低体重 明らかな低体重 正常または過体重 正常または過体重 低体重から正常

病的な低体重ってどれくらい?

MORBIDLY UNDERWEIGHT

体格指数(Body mass index: BMI)という尺度が国際的には一般的です。 BMIは体重(kg)/身長(m)2で計算される値で22kg/m2が標準値です。

身長158cmの人であれば、標準体重は1.58×1.58×22となり、54.9 kgとなります(以下すべての計算は小数点第二位を四捨五入して表記)。
また、国際保健機関(WHO)は成人の正常下限をBMI 18.5 kg/m2としています。1.58×1.58×18.5となり、46.2 kgが正常下限の体重と言うことになります。
ただ、日本人は欧米人に比べて小柄であるため、もう少し低めであるという議論も存在しています。
それをBMI 17.5~18 kg/m2程度と考えても、日本人の場合でも少なくとも43.7~44.9kg未満は注意が必要でしょう。
また、我が国では以下のような低体重時の活動制限の指針が設けられています。

難病情報センターホームページより
標準体重 身体状況 活動制限
55%未満 内科的合併症の頻度が高い 入院による栄養療法の絶対適応
55~65% 最低限の日常生活にも支障がある 入院による栄養療法が適切
65~70% 軽労作の日常生活にも支障がある 自宅療養が望ましい
70~75% 軽労作の日常生活は可能 制限つき就学・就労の許可
75%以上 通常の日常生活は可能 就学・就労の許可

標準体重の75 % (BMI 16.5kg/m2に相当)未満は成長障害を生じ、骨粗鬆症を進行させますので、日常生活に制限が必要とされています。
つまり、体育・運動系の部活や肉体的負担の大きい労働は禁止という制限付きの就学・就労許可ということになります。
神経性やせ症の患者さんは過活動の方が多くて、周囲が止めないと登山をしたり、マラソンをしたり平気でしますので注意が必要です。

当院の摂食障害治療について

当院では専門医の指示もと多職種が共同して摂食障害を持つ患者さんの治療に取り組みます。
当院の摂食障害治療には下記のような特徴があります。
 

1
心身の回復、つまり健康な体重への回復と健康な心理状態(健全な自己評価)の回復をめざします(心の回復には身体的健康の回復が必要です)。

2
入院治療はそのための基礎固めであり、適宜行われるテコ入れのようなものです。

3
入院中は看護師が食事中と食後約1時間付き添って見守り、食事の摂取をサポートし、健康な体重への速やかな回復を支援します。

4
さまざまな娯楽、携帯電話の使用、面会などの制限は原則として行いません。

(治療上、必要な場合にはご相談いたします)。重症度に応じて行動範囲を制限させていただくことがあります。

5
低い自己評価に基づく心の苦痛を軽減し、健康な自己評価を回復していくために弁証法的行動療法(DBT)を実施しています。

退院後も外来で継続して最低2クールを終了することを推奨しています。

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