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ナーシングセンター八幡健康エッセイ:第6回「コロナとインフルエンザ」

ナーシングセンター八幡 健康エッセイ:第6回「コロナとインフルエンザ」

ナーシングセンター八幡健康エッセイ:第6回
「コロナとインフルエンザ」

粟生(あおう)修司(ナーシングセンター八幡施設長、九州工業大学名誉教授)

経済活動の再開で世界の新型コロナウイルスの患者は再び増加に転じました。日本では増加しないものの減少もしないという状況です。北九州市は減ってきていますが、人の動きが活発になると増えないという保証はありません。冬になるとインフルエンザのシーズンになります。今のうちにコロナとインフルエンザの2つを同時に対策していく必要があります。

1.感染症の歴史
人類は未知の感染症(古くはペスト、天然痘、梅毒、コレラ、最近ではエイズ、エボラ出血熱、重症急性呼吸器症候群:SARSコロナウイルス、中東呼吸器症候群:MERSコロナウイルス)に繰り返し襲われてきましたが、その都度乗り越えてきました。現在は流行することなく、中には消滅したものもあります。既知の感染症も治療法が確立しているので流行することはありません。昔と比べると症状が軽くなっているものも多く、抵抗力がついたり弱毒化したりした結果、ある種の共存状態ができあがっているのかもしれません。例えば、結核はストレプトマイシンという特効薬ができる前から死亡率は大きく下がっていました。コレラも最近は通常の下痢とほとんど区別がつかなくなってきています。新型コロナウイルスも既知のコロナウイルスの仲間として残っていくと思われます。


2.感染症対策の基本

感染症対策の基本は「感染源に近づかない」これに尽きます。感染症が流行したときは昔も今も「検査と隔離」です。要は感染機会を減らすということで、現在実施されているマスク・手洗い・うがい・3密回避ということになります。その結果、今年は通常の感染症(インフルエンザ、感染性胃腸炎など)の発生もかなり減りました。これからインフルエンザの流行シーズンに向けてワクチン接種が始まっていますが、「感染源を近寄せない」基本的な感染症対策がインフルエンザも含めてさまざまな感染症の発生を減らしてくれることが期待されます。とは言うもののワクチンも重要です。コロナワクチンももうすぐでしょう。今年はインフルエンザワクチンの予防接種をしっかりと受けておきましょう。

3.新型コロナウイルスの既知化と活動制限の解除
新型コロナウイルスは未知のウイルスだったため大きな不安と恐怖を引き起こしました。しかし、その本体がわかってくると不安は減っていきます。実際、死者は比較的少なく、夏は熱中症、冬はインフルエンザの死者のほうがずっと多いのです。これらの病気は原因も対策もわかっているので不安や恐怖を起こしません。新型コロナウイルスも当初に比べていろいろなことがわかっています。検査法、治療法も増えています。

対策がわかっていると不安はなくなります。高齢者で重症化しやすいことは確かですが、高齢者でも軽症、場合によっては無症状のこともあります。これまでの感染症と同様の対策が有効であることが、新型コロナウイルスでも証明されたといっていいでしょう。

いろいろなことがわかってきて、徐々に冷静な対処ができるようになってきたことから、活動制限が解除されています。高齢者施設での面会制限も国として解除の方向で検討されています。当施設でも制限を緩める方向で北九州市や福岡県の動きと連携しながら調整していく予定です(リモート面会はすでに実施しています)。

秋から冬にかけて、三密をさけてマスク・手洗い・うがいをすることはますます大事になってきます。これらに加えて、自分でできる基本的な感染症対策は、①ストレスや疲労で免疫力をさげない、②体を冷やさない(体温が下がると免疫力が低下します)です。ちょっとした気のゆるみや油断が感染機会を上げてしまいます。まだまだ注意は必要です。

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