八幡厚生病院について

院長ご挨拶

 精神科医療、メンタルヘルスの分野は、日々刻々と変化しています。統合失調症を主に入院で治療していた時代は、ずいぶん精神科の敷居は高いものでしたが、うつ病啓蒙の時代を経て、街中でメンタルクリニックを多く見かけるようになり、そのハードルもずいぶん低くなってきています。そして、近年の神経発達症への関心の高まりは、医療の側面だけにとどまらず、社会的にも注目を集めており、精神科医療の重要性が、ますます認識されるようになりました。さらに、2020年からの新型コロナウイルスの世界的感染拡大は、身体の病気としての脅威のみならず、「ひととひとの繋がり」のあり方を変えることで、世界中の人々のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼしました。そして、これらの領域においても、精神科医療の役割が期待されているところです。
 
 八幡厚生病院は、1964年に病床数68床で開設され、「尊厳」「安心」「信頼」を基礎に据え、患者さんが心から安心して治療を受けられる場所でありたいという信念のもとに、診療に取り組んでまいりました。この理念に基づき、現在では6病棟315床に、併設している介護老人保健施設100床を加えて、地域の医療・介護・福祉の分野でより一層の貢献を目指し、たゆまぬ努力を続けています。
 
 入院部門では、いわゆる精神科スーパー救急病棟2病棟96床を中心として、幅広い精神疾患の急性期治療を行っています。また、治療抵抗性統合失調症に対するクロザリルの導入や、アディクション・リハビリテーションプログラム、摂食障害プログラム、認知行動療法など、より専門性の高い治療プログラムも、患者さんのニーズに応じて提供できるようにしています。今後も精神科サブスペシャリティを視野に、地域のニーズに合わせて、より専門性の高いプログラムの導入と人材の育成に努めていく所存です。
 また、地域部門では地域の施設サービスと緊密な連携をとりながら、特徴のある地域サポート体制を構築、強化していく予定です。
 
 私どもの病院は、地域、社会のニーズに適切に対応し、安全で質の高い医療と介護を提供することによって、ひとりひとりの患者さんが自分らしい人生を送ることができるように支援し、地域から信頼される病院でありたいと考えています。

院長 三浦 智史