認知症治療
認知症のある方は、その特有の認知障害のために様々な不安感、緊張、うつ気分、イライラ感、悲しみ、興奮などを体験しています。これが周囲からは幻覚、妄想、不安などの精神症状として、あるいは、徘徊、夜間不穏、不潔行為などの行動障害として目に映ります。
しかし、認知症の方にとって安定した適応しやすい環境条件が整っていれば気分も落ち着き、喜びや楽しみを体験することができるのです。
主な認知症
アルツハイマー型認知症
異常なタンパク質が脳の神経細胞に蓄積して神経細胞を破壊し、脳が委縮することで発症します。親しい人を忘れるなどの記憶障害や、ここがどこか、今いつなのか分からない見当識障害などの症状が目立ちます。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血、脳の中の小さな血管が動脈硬化をおこすことで神経細胞に障害がおこり発症します。「もの忘れなどがあっても判断力の低下はみられない」一方で「頑固になるなど性格が変化する」といった症状がまだらに現れやすいといわれます。
アルコール性認知症
多量のアルコールを飲むことで発症する脳梗塞などの脳血管障害、あるいは、ビタミンB1の欠乏による栄養障害などによっても認知症を発症します。記憶障害、見当識障害、作話などの症状が目立ちます。
レビー小体型認知症
神経細胞に特殊なたんぱく質(レビー小体)ができて、神経伝達が阻害されることでおきる認知症です。パーキンソン病に似た症状に加え、幻視などの症状が特有です。
認知症の治療について
認知症を完治する方法は現代の医学にはありません。しかし、治療やケアを行うことで進行の速度を遅くしたり、出ている症状を軽減させたりすることはできます。当院では薬物療法とリハビリテーションを組み合わせた治療を主に行っています。
薬物療法
認知症の進行を抑えたり、脳の機能低下を遅らせたりすることが可能です。また、徘徊興奮などの症状が重い時には、少量の抗精神病薬などを使用する場合もあります。
リハビリテーション
認知症対策のリハビリテーションは、脳の様々な機能に刺激を与えることが目的で、症状に合わせて適切なリハビリテーションを選択します。主なリハビリテーションには以下のようなものがあります。
- 簡単な計算や音読、字を書き写すなど
- 昔の話を思い出し、話す回想法
- 脳に刺激を与える音楽療法、芸術療法
ご家族へのケア
治療と並ぶほど重要な役割を果たしているのが、ご家族によるケアです。とはいえ、認知症の家族をもつのは大変につらい面があり、認知症の症状が出てくると、ついご本人を叱りつけてしまうことがあるものです。患者さんのためにも、ご家族のストレスを軽減することが必要となってきます。そこで、ご家族の方が認知症という病気をしっかりと理解し、ご家族とご本人にとって負担のないケアができるよう、当院のスタッフがサポートします。
認知症病棟で短期集中的に治療
当院には、認知症を患った方に対して短期集中的に精神科的な治療と手厚いケアが行える認知症治療病棟があります。ゆとりのある病室、観察室、生活機能訓練室、在宅療養訓練指導室などの諸設備が整っており、患者さんをやさしく見守ります。精神症状や行動障害が落ち着いてきたら、ご家族の方とご相談しながら、患者さんがどこで生活していくのが良いのか決めていくようにしています。
ご相談、ご利用などについてのお問い合わせは
認知症のある人に対する各種相談や、在宅療養指導、デイサービスなどのご利用については外来相談窓口にて承っています。
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