新型コロナウィルスの流行によって、精神科医療の現場も大きく影響を受けています。心身医療病棟であるB病棟においても、アディクション教育プログラム(ARP)や家族会、病棟外部からの活動への参加が制限された事により、治療環境が大幅に制限されました。
B病棟としても、何とか新型コロナウィルスに関する国や近隣の状況について情報収集しながら、どうしたら少しでも良い治療環境を提供できるかを常に模索してまいりました。
そのための課題としては、「3密を避ける」との観点から十分な活動スペースの確保が難しいこと。さらには、病棟外部からの出入りを制限したために、幾つかの活動が中止となったことが挙げられます。しかし病棟内には限られた場所しかなく、どうしたら患者さんに出来る限りの治療プログラムをご提供できるか苦心してまいりました。
様々な方法を検討していたところ、ウェブ会議アプリである「Zoom」を活用して何か出来ないかと病棟作業療法士より提案がありました。①活動場所を2つに分けて「密」を避けること。②今年3月より中止していた家族会をリモートにて再開すること。この2点から動き出しました。
まず作業療法士にインターネット環境の調整を依頼し、同時に担当看護師がリモートにて行うためのルール作りを開始しました。環境やルールを整えた上で、「Zoom」を活用してARPの一部を病棟内の2つの会場で実施することで、感染対策を行いながらも必要な治療環境を維持することが可能になりました。
次に、摂食障害患者を抱える家族のケアとサポートを目的に行ってきた「摂食障害家族会」をリモートにて毎月開催できるようになりました。画面上ではありますが、家族の想いや葛藤を吐露していただくとともに、医師による適切なアドバイスによって、以前と同様に家族へのサポートが継続できるようになったことを嬉しく思います。
今後とも感染対策に十分に注意しながら、患者さんにとってより良い治療環境を提供できるよう最善をつくしていきたいと思います。
B病棟 看護師長 上田