インフォメーション

依存症治療プログラムを終えた患者さんとそのご家族からのメッセージ(2023年9月掲載分)

当院の依存症専門治療病棟に入院経験のある方とそのご家族よりメッセージをいただきました。
当院での依存症治療を検討している方やそのご家族の皆様の参考にしていただければ幸いです。

【 50代男性のアルコール依存症の方からのメッセージ 】

今回5回目の入院は、3/18(亡き父親の誕生日)のスリップ(再飲酒)によるものでありました。8日間の連続飲酒、最後の3日間は朝からの飲酒となりました。離脱症状が2日間続き、少し収まりかけた時に、中間施設のスタッフに電話連絡を取り、事実を告げました(実は、スタッフは数日前から少し様子がおかしいと感じていたようです) 。電話連絡後すぐに指示アドバイスを受け、その後自宅に来て頂き、病院との連絡、調整をして頂き再入院に至りました。

前回入院後4回目のARP(アディクション・リハビリテーション・プログラム)を受け、退院を目前にひかえています。3年前の時とはずいぶん、心理状態が変化していることに気づいております。前回の入院は帰る場所がなく、たくさんの不安を抱えておりました。長期間会社を離れることになる不安、引継ぎの不安、ある事、ない事まで含めたくさんの不安の中の入院生活でした。この専門病棟退院後、中間施設に繋がるわずか数日の間に又もスリップをして別の病棟に再入院し、そこで約3ケ月、計6ケ月、半年を病院の中で過ごしました。もうその頃には、家族や身内にも愛想を尽かされ、会社、家庭を追われ、完全に行き場を失っておりました。行きたくないでなく、居場所がなく、帰る所がなく、選択肢は中間施設の共同生活のみとなっていました。その後、一年半の共同生活を経て職場復帰も果たし、現在3年間が過ぎました。

自分の体験は、まだ3年間に過ぎず、語るにはまだまだ早いと感じておりました。しかし、今入院されている方々、初めて入院された方、経験値の少ない方(多ければ良いというものでは無いが)、自助会等に繋がっていない方々が多数であると感じ、自分の拙い経験が、少しでもお役に立つのならと思い、少しばかりのお話をさせて頂きました。

皆さんに伝えたかったのは、この病気は本当にやっかいな病気で、一人で治すのは相当に困難な病気であることです。是非、病院(通院)自助会、中間施設とどこかと必ず繋がっていてほしという想いです。ただそれだけです。スリップ(再飲酒)した際、必ず自分のへんなプライドや、カッコ悪さや後ろめたさが邪魔をします。その時こそ、小さな勇気をもって再び繋がり、そこからまた始まると私は信じています。どこかと、必ず繋がりを持ち続けて下さい。

【 50代男性アルコール依存症の方の奥様からのメッセージ 】

今回で2回目の入院となりました。入院前の数年は飲みすぎから体調を壊し、その繰り返しで部屋に引きこもる事が多くなっていました。家に居ると飲むので外出や好きな旅行とかに連れ出したりしていましたが、一向に改善せず、私の気持ちの切り替えも出来ませんでした。

最初は飲みすぎる原因はあったと思います。不満を言う事もありました。段々と量が増えセーブが出来なくなった時、普通ならしない様な行動や迷惑行為もあって、私も疲れていたと思います。夜も熟睡出来ず不眠状態でいらいらもありました。入院を勧めても拒否され体調が悪くなるのは分かっていましたが、本人が不調を訴えるまで見守ることにしました。

入院が決まった時は開放されると思いました。入院1ケ月くらいのころに自宅での迷惑行為について話しても覚えていませんでしたが、それでも謝罪の言葉を聞くことができ、普通の会話ができる様になりました。最近は、食欲も出てきて良く食べます。入院中に外泊で家に帰った時は家事を手伝ってくれる様にもなりました。入院して回復のための講義に参加していると聞き、今はアルコールを飲みたい気持ちは無いと言っています。また、三度の食事や睡眠等、生活リズムが整ってきて、自助グループミーティングへの参加が習慣となり、飲まない生活に役立つと言って楽しみにしている様です。

家族が苦しんだ事も受け止めて、治療に取り組んで欲しいと思います。入院後、アルコール依存症は回復できる病気なんだと少し安心しました。

※当院のアディクション治療について詳しく知りたい方はこちら

【 バックナンバー 】

〇2023年2月掲載分

〇2021年6月~2022年6月掲載分

一覧に戻る